巨人が始めて私に殴りかかってきたのは5年前だった。まさか殴りはしないと油断していた私は、まんまと左目にお見舞いをくらい一週間は人前に出られなかった。
以後、殴りかかってくることを想定し、我慢できずに反抗する時は緊張感を忘れないようにしている。
話は遡るが、私は中学、高校と部活で剣道をやっていた。当時は真剣に全国大会を目指して頑張っていたのだが、高校最後の試合は県大3位に終わり、あっけなく引退した。
当時はこの6年は何だったのだろうと思ったものだが、今になってあの厳しい練習の日々は無駄ではなかったと思うようになった。
あれから1度も竹刀は握ってないが、こんなおばさんになっても動体視力だけはまだ残っていたのだ。
その後、巨人は何度も殴りかかってきたが、私はことごとく避けるか腕で防御する事に成功し、いまだ致命傷には至っていない。
巨人のほうも最近では私に暴力を振るうのは諦め、もっぱら暴言と物に当たる事に終始している。
…虚しい。こんなコトは自慢にも何にもならないのは分かっている。
そもそもこの異常な結婚生活を見直さなければならないのだから。
ただ1歩が踏み出せない。
経済的な問題が最も大きい。
ひとつだけ。
もし今、家庭内暴力で苦しんでいる方がいたら、まずは相手との間合いに注意するように心掛けて下さい。腕や足が届かない距離を保つようにするば、致命傷はさけられます。
それだけで全然違います。