朝晩、本当に涼しくなった。
キンモクセイの香りはまだ届かない。私は少しひんやりした澄んだ空気にどこからか漂ってくるキンモクセイの香りが大好きだ。心が洗われるような気がするから。
その後、問題の車の売却の件が全て嘘だった事がわかった。
巨人は嘘をついた事に対して反省の素振りはみせないが、少しは事態を重くみたのか「悪かったよ」とメールで送ってきた。
私は、それでもあなたは俺の金を使うな、俺の車を使うなと言い続けるだろう。あなたは自分が最優先されなければ不機嫌な態度を繰り返すのだろう。これ以上一緒に生活は出来ない、と言った。
巨人は「わかったよ。わかったよ。」と離婚に承諾してみせたが、私は簡単に信用したりはしない。
今日は絶対に手を出さないと決めていた定期貯金を解約し、支払っていなかった子供のZ会の代金と督促状のきていた固定資産税を支払った。
もうどうでもいいと巨人の気の済むように多すぎるこずかいを渡し、行きたいだけプールに通い、言われるままに酎ハイを買ってきた結果だ。
すでに家計は崩壊している。最初からマイナスの家計簿はもうつける気がしない。 電気、水道など諸々の引き落とし日など考えたくもなかった。
払い期日を守らなかった代償は大きいだろう。私は社会的な信用を失ってしまった。
ただ、少し前向きに考えている。方向性が見えてきたから。
きちんとしなければ。私は働こうと思う。
これからは巨人のご機嫌を伺ったり、ご要望にお答えする必要はない。
もう、待ったなしで働くしかない。でなければ後がない。止まってはいられないのだ。