10/9
クライマックスシリーズで巨人(読売ジャイアンツ)優勝の可能性が無くなったらしい。うちの巨人の落胆といったらなかった。
『オレはまだあきらめてない。』
『ジャイアンツの優勝をまだあきらめてない!』
『ジャイアンツのメイクドラマをオレは信じている。』
これが最近の口癖だった。かわいそうに。すっかり抜け殻のようになってしまった。ならば、おとなしくしょぼくれていてほしいのだが、そういう訳にはいかないから、面倒臭い。しばらくおとなしく飲んでいたのだが、酔いがすすむと、
寝入ばなの子供達の襖を開け、言い放った。
「オレはひどくキズついているんだあ!
……予約したよ。
何を予約したんでしょうかっ?
2・0・1・7カレンダーでーす!
誰のカレンダーでしょうかっ?
サカモトとか言うなよ。
それも考えたんだけどな~男だよ。男!
ここはやっぱり男、男・ムラタだろ?」
いいかげんにしてよと私は襖を閉めた。
もっと他の事で傷つくべきだろう。おまえはもう、私や子供達からの信頼を失っている。オマエはもう、死んでいる。その事にこそ、酷く傷つくべきだろう。
私との関係が明らかになり、ある程度の距離感がうまれたのは喜ばしい事だが、子供達に甘えるようになってしまったら元も子もない。今後注視していこうと思う。
10/10
巨人が帰ってきた。今日はどんな様子かと待ち構えていたのだが、意外な事に立ち直りもはやい。
「再生だよ。来シーズンに向けて何をやるかだよ」
そう言ってジャイアンツ再生に向けての取り組みを熱く語り始めた。内容は話半分て聞いてるからおぼえてない。
10/11
当面の間、以前からやっているポスティングのバイトの仕事量を、増やすよう、お願いしている。たいした稼ぎにならないのだが、巨人のご機嫌を優先しなければならなかった私にとって、期限内であれば、自分でスケジュールを決められるというのがメリットだった。
説明しにくいのだが、巨人は私が稼げば稼ぐで気に入らず、家の中にいて何もしていなければ、それはそれで気に入らない。
ならば、巨人の出勤している間に仕事をすればよいのだが、シフト制の為、シフトを知らなければ仕事が入れられない。
が、そのシフトを巨人は教えようとしない。突然電話をかけてきて『明日休みだから煮豚を作っておいて』とか言う。また、シフトを教えたとしても私が寝転んでTVでも見てやしないかとフェイントで足音をたてずに早く帰ってきたりするパターンもある。
ポスティングは雨だと仕事が出来ないので雨続きだと辛い。今日は雨で出来なかった分、キツかった。