巨人が愛して止まない"スポーツ報知”の一面、ジャイアンツのオレンジ色のユニフォームを見て、うっかり「ハロウィンか~」と漏らしてしまった自分を悔やんでいる。
巨人は冗談じゃねぇぞ!と昨日の晩は鈴木尚広選手の引退、人となり、の素晴らしさについて、長いこと熱弁を振るった。
ただ、野球に興味のない私でも、尚広選手のプロ野球選手としての姿勢には琴線に触れるものがあった。
盗塁成功率が歴代トップの尚広選手は、ポジションは責任があるもの。生半可な気持ちでは続けられないと、引退を決意した。
「どんな職業でも同じだよ。どれだけ準備して、仕事に臨むか、でょ。」誰よりも早く球場に来て準備する。出場機会がなくても 、嫌な顔を見せることはない。
「後輩に技術を教えるのはすぐにできる。でも、プロとしてどう生きるべきかは簡単に教えられない。」ファンの期待、そして与えれた役割の重さに少しでも応えられないと思えば、身を引く。尚広が最後に見せたプロとしてのあり方だろうし、後輩に、それだけ責任の重い仕事をしているんだ、という事を伝えたかったに違いない。
10月13日 スポーツ報知新聞
ゲームの状況次第で出場するかどうか分からないが、いざ出番、となった時に100%の仕事をする為に誰よりも早く来て 、誰よりも練習する。これはなかなか出来るものではない、素晴らしいと思った。
このような、仕事に対する厳しい姿勢にどれだけのサラリーマンが勇気づけられ、今日一日の仕事を誠実にこなそうと思っただろう。
社会に出れば、不遇な立場に追いやられたり、理不尽だと感じる事は沢山ある。それでも腐らず、いじけず、頑張る。そんな姿を若い人はどう感じるのだろう?そんなものはただの社畜か?、まだそんな事に消耗してるのはバカか?俺らは毎日、遊びながら大金稼いでるよ、と笑うのだろうか。
尚広の言うように『心を鍛える』事を教えるという事はなかなか出来ない。多分、教えてもらう類のものではないのだろう。心を鍛えたいと自ら思わなければ、鍛えられるものではないのだろう。
それでも、息子達には心を鍛えてほしい、生きる力をつけてもらいたい、と願っている。その為の「勉強しろ」だし、その為の「ゲームばっかりするな」だし、その為の「片付けろ」なのだ。
「好きな事だけ、やりたい事だけやれるわけじゃないんだよ。面倒臭くても、やらなきゃいけない事はやるしかないんだよ。」
これも今まで何度言っただろう?日常はこんな事ばかり言ってるうちに過ぎていってしまう。分かってくれよ、と思う。
そういえば、友達もキレていた。あれは夏休みだったか。高校生のお兄ちゃんが、帰って来て部活のバックを玄関に放っぽりぱなし。何回弁当箱を出せ、練習着を出せと言っても、疲れてる、後で~とソファーでゴロン。とうとう彼女は、
「じゃあ、分かった!お母さんも疲れてるから早起きして弁当つくらない。」
と言って、朝食も弁当も作らなかった。
で、その翌日、お兄ちゃんが近所のドラッグストアで大量に値引きのパンを大量に買っているのを私は目撃したのだ。
話のオチが見つからない。
大事な事は親の生きざまということか。鈴木尚広は大事な事を自らやってみせた。子育てでも親がやってみせるのしかないのかもしれない。う~ん、厳しいな…
鈴木尚広引退の記事を見て、昔好きだった曲を思い出した。中島みゆきの『ファイト』。
ファイト!闘う君の唄を
闘わない奴等が笑うだろう
ファイト!冷たい水の中を
ふるえながら登ってゆけ
グッとくる唄だ。今度、子供達に何気なく聴かせてみよう。この曲にグッときたら骨のある奴。グッときてくれたら嬉しい。
巨人は尚広がいなくて寂しい、寂しい、尚広はジャイアンツの屋台骨だ。ああいう奴がチームには必要なんだ。と繰り返した。
「オレは今夜、涙で枕を濡らすよ…」
と、布団に入った巨人は、今夜もヨダレで枕を濡らしていた。