若い時は、まあーくだらない事で落ち込んだものだ。若いっていいやね…
大学の時、寝坊して絶対行かなくちゃならない一限を遅刻しそうになり、これは不味い!とにかく急げと電車に駆け込んだのだが、寝過ごしてしまい、終点まで行ってしまった。
もうダメだ。でも誠意をみせて遅刻しても行こうと登りの電車で引き返したら、これまた寝過ごして最寄り駅を通過してしまった。
ああ、やんなっちゃう、とまた引き返そうとホームにおりてふと気がつくと、着の身着のまま出てきてしまっている。ひどい格好。これじゃ、恥ずかしくて誰にも会えないと思い、とうとう、その日はひどく落ち込んで、大学をサボって家に引き返し、布団を被って泣いた覚えがある。
今思うと、落ち込むこと事態、すごーくズレている。というか、タダのバカ。落ち込む前に遊び過ぎのその生活を反省して改めろと思うのだが、その時は、どういうツボに入ったのか、私は何をやっているんだろう、私はなんてダメな人間なんだろう、と思いつめた。
そんな時私を救ってくれた曲が筋肉少女帯の『踊るダメ人間』だ。
ダメ、ダメ、ダメ、ダメ、ダメー人間!
ダメ、ダメ、ダメ、ダメ、ダメー人間!
としつこい程繰り返すこの歌詞が妙に懐に入ってくる。
なんか分からないけど、そうです。そうなんです。私はダッメーな人間でーす!と明るい気分になったのだった。
ただ、残念なのは当時の私に反省、心を入れ替えて真面目に勉強するなど改善点がみられない点だ。完全に学生としての本分を見失っている。
人間、落ち込んだ後、開き直るだけじゃ成長しないんですね…
また、同じ時期だと思うが、バイト先の休憩室で気のいいK君と談笑している時、何か面白い事があって、爆笑したその勢いにまぎれてボォ!と大音量のオナラをしてしまった事がある。
自分のした事のショックで頭が真っ白になったのだろう。その直後の事は覚えていない。
その後何日かひどく落ち込んだ。K君の事を好きな訳ではないのだけど、K君がこっそり私がオナラをしたと思っている、その事実が嫌だった。どのツラ下げてK君にあおうか。穴があったら入りたい。もうこれ以上バイトは続けられない。辞めようと決心し、マネージャーに
「取り返しのつかない事をしてしまったのでバイトを辞めさせて下さい。」
と言ったところ、何だ何だ、何をしたんだと問い詰められて、オナラ事件を告白させられることになった。
はあ?オマエは何を言ってるんだ。じゃあ、オレがKに聞いてくるとマネージャーが私の静止も聞かずに、
「おい、K。ガンボのオナラ聞いたか?」
と聞くと、
「…?何の事ですか?」
とK君は言う。
「ホントに聞いてないの?ホントにホント?」
と私が詰め寄ると、
「いつしたの?」
とポカーンと言う。
K君にはオナラの事はバレたけど、それですっかり吹っ切れた私は卒業までバイトを続けた。
落ち込むっていうのはどういう心理なんだろうと考えると、多分、自分を過大評価しているからなんじゃないかと思う。
優秀な学生でもないくせに、優秀だと思っている、または優秀だと思われたい。だけど実際は自己管理も出来ない落ちこぼれ学生。
それに、オナラなんてするはずのないミスキャンパスとはほど遠い自分。
悲しいが、そういう自分の情けない所を認めてしまえばラクになる。落ち込む事もない。
そういえば、私はこのところ、久しく落ち込んでいないのだった。