私はどちらかというと、本を読むのが好きな方だ。読書量はそんなに多い方ではない。もっと読みたいなあとは思うけど、なかなか。
給料を本に注ぎ込めた独身の頃が懐かしい。今じゃめったに本は買わない。本にかける予算は子供の教育費や食費に回る。
でも、 幸いにも家から歩いて数分の所にこじんまりとした図書館がある。なんだかんだといって、私も、子供達も入れ替わり立ち代りこの図書館のお世話になっている。
私はこの図書館で1人過ごす時間が好きだ。時間があればここに立ち寄るようにしている。
喉が乾いたら、外に一つだけある自動販売機で缶コーヒーか何かを買って、立ち飲みをする。今日は暑いのでレモンティーにしよう。
若いお母さんが2.3歳の男の子の兄弟を連れて出てくる。さっきから静かにさせるのに大変そうだった。…ちょっと前の私みたい。子供達が小さい時、私もよくここに連れて来たものだ。
「まったく、男の子ってのはじっとしてられないから大変だよね。お疲れ様。」
おばさんよろしく話しかけたい衝動に駆られる。ダメダメ。嫌味に聞こえちゃってもいけない。やめておこう。
絵本コーナーは一般とは離れたエリアにしてあげて、多少うるさくても親が気にしないで本を選べるようにしてあげたらよいのに…なあんてぼんやり考える。
レモンティーが冷たくて美味しい。
子供が小さい頃、自分だけの時間が欲しい。1時間でもよいから欲しい。そんな1時間さえあれば、余裕のない自分をリセットできる。もっと子供達に優しくなれるのに。きっと、いつも笑顔のママになれるのに。こんな事ばかり考えていた時期があった。
そして、そういえば今、あの頃あんなに欲しかったもの、ささやかな1人だけの時間を手にしている。
あ。そういえば私、夢が叶っていたんだ…と気がつく。
夢や希望が叶う時って、結局こんなものなんだな。忘れた頃に、気がついたらいつの間にか叶っている。
笑っちゃう。ささやかな1人だけの時間を手に入れたからといって、いつも笑顔で優しいママでいられるという訳にはいかない。
冷たい午後ティーが本当に美味しい。
さあ、もうそろそろ帰ろう。