今となっては自慢でも何でもないのだけど、我が強い長男でも、小学校では真面目で比較的おとなしく、授業にも積極的に参加し、保護者面談では特に指摘もなく過ぎてきた。
が、しかし。今回、私は親として初めて中学校での三者面談なるものを体験したのだけど、いやぁ、参った。親子でガツンと気合を入れられちゃった感じだ。
中間テストで1学期期末の結果から順位を10番落とした長男は、リベンジとばかりに任天堂スイッチを自分から私に渡し、期末に挑んだはずだったのだが、結局はちょっと息抜きにと期末テスト直前の土日に持ち出した。ちょっとのはずの息抜きは30分のつもりが半日になってしまった。
はい。終わった。案の定、中間と似たり寄ったりの成績だった。
明日の用意をするのがめんどくさいので、毎日全教科を持って学校へ行っている。
信じられないほど重い学校指定のリュックを背負い、やや前傾に歩きながら通学する様子はまるで山小屋へ飲料水を運ぶ人のようだった。杖でも持たせようかと言ったほど。
バカじゃないかと思いながらも、本人がいいのならば仕方がないと思っていたが、先生のキレポイントは、そこではなかった。今、一番前の席なのをいいことに、しまいきれない関係のない教科書をちゃっかり先生の机の上に置いているというのだ。
「先生の机の上を自分の荷物置場にするっておかしいだろ?自分だけの問題じゃないだろ。そうやって他人にも迷惑をかけてるんだよ。」
…ほんとうだよ。
授業がつまらない、というのは聞いていた。優等生・授業が簡単すぎて退屈問題。
だからって、授業中おならの音を真似て出してよろこんではいけない。T君の下ネタに敏感に反応してはいけない。教科書にパラパラアニメを描いてはいけない。
…そうだ。そうだ。
もはや長男は優等生でもなんでもない。第一、田舎のちっちゃな中学校でちょっと成績が良いくらいで喜んでいたらいけないのだ。まるで危機感がない。
「今、一生懸命にやりたいことは何ですか。」
「…いや…特に。」
「なーんとなく中学校生活送っていたら、あっという間になーんとなく大人になっちゃうから目標を決めよう。」
「じゃあ…英語を頑張ります。…単語のケアレスミスが多かったから…。」
「分かった。英語な。」
「もうすぐ2年生になります。どんな先輩になりたいですか。」
「え~っと…ふつうのセンパイに。」
「ふつうの先輩ってどんな先輩ですか。」
「…いや。ふつうの感じです。」
横からどついてやりたくなるような、歯切れの悪い返答のまま三者面談は終わった。
それにしても先生はさっすがプロだ。私が家でキーキー言っているような事を筋道を立て話すので説得力がある。
さすがにこれは効いただろうと思いながら、押し黙って並んでしょんぼり歩いていると、
「そうだ ! おれのスパイクもう本当に限界だよ。買ってよ。」
ときたのでイラッとして
「知らないよ。そんなの。」
と言って自分だけ自転車ですいすい帰って来てやったのだが、穴だらけのスパイクでは困るだろうと、結局はスパイクを買いにスポーツ用品店に行くところが親の弱いところだ。
この前買わされた時は26cmだったが、今回は27cmだって。体だけは大きくなっている。
昨日、先生と提出を約束していたはずの定期テストの個人成績表が机の上にある。今、ここにあるということは、今日持っていくのを忘れたということだ。
保護者コメントには「今後に期待します。」との私の文字か゛虚しく踊っている。