雨のち晴れ

子育て・考えたことやたわいのない日常を綴った日記です

やはり『13歳の進路』は手元に置いておきたい本だと思った。

 『13歳の進路』を読んだ。

村上龍さんの本は高校生の頃、好きでよく読んだのだけど、久しくご無沙汰していた。

あいかわらず村上龍さんはキレッキレで、「ああ、この文章は村上龍だ。」と懐かしい先輩にでも会ったような気分になった。

それはさておき、『13歳の進路』の話。

 

13歳の進路

13歳の進路

 

 

進路は親や教師や社会から振り分けられ、与えられるものではなく、自分で選びとってほしい。

 

 この本で言いたいことは、この言葉に集約されるのではないかと思う。全体を通して、学校教育や進路指導についての問題提起、それと…なんて言うのかな、枠からはみ出てしまった10代の子供への応援歌的なものなど、村上龍さんらしい、強いメッセージ性が感じられる本。

 

  これからの社会を生きていくには、厳しい現実があるけれど、なんとか生き抜いて欲しい。その為には 、”どうすればこの社会を一人で生きのびていけるか、という問いに向き合わなければいけない。

 そして、例えばこういう道があるよ。ああいう道もあるよ。たとえ、親にお金がなかったり、つまずいて遠回りをしても、まだまだこんな道もあるよ。と分かりやすく、具体的な進路先を紹介・説明する本だ。

 

 この本は、若者のために書かれた本に違いはないが、中年の私自身も自分の人生振り返り、色々と考えてしまった。

 

 まず、 私はこの本を読んで、親世代が自分の若い頃の感覚のまま、子供に進路を語るのは無理があるのだということを認めなくてはいけないと思った。時代はあまりにも変わったものね。

 

【有利な道ではなく、生き延びる道】

どこへ行けば就職に有利か、どの産業に就職すれば将来的な安定が得られるかという考えで進路が語られてきた。だが、それは日本経済が成長を続けてきたのどかな時代の名残りにすぎない。

 

確かに私が学生の頃は、まさにこんな感覚で進路を考えていた時代だった。「これからはこの業界が伸びる」そんな理由で就職先を選ぶ友達は確かに多かった。

「就職戦線異状なし」なんて映画もあったっけ。

 

ただ、私が就職活動をした年は、ちょうどバブルが弾けた年だった。”業績不振の為、内定取り消し"という事例もよく聞いた。

私も訳の分からない中で就職活動をしていたように思う。結局は、なかなか就職先が決まらず、入れてくれる会社に滑り込むのがやっとだった。 そんなふうに入った会社でも実際に仕事をしてみるとおもしろくなり、売り上げ達成の為、夢中になって働いた。

 

 私のような古い人間は、好きな事を職業にして成功出来るのは、才能のある、ほんの限られた人だと思っている。

 多くの働く人は、特に好きでもない仕事に従事し、その中でやりがいを見つけるなどして、なんとか自分に折り合いをつけながら働いている。たとえ、希望通りの職についたとしても、良い事ばかりじゃない。仕事ってそんなものだと。

口が達者な新卒社員の子に、”自己実現とかいいからさ、まずは動けよ"なんて思ったもんだ。

 

でもなあ…と思う。自分の半生を振り返ると、やはり、それでは考えが足りなかった。先の人生を見据える努力に欠けていたのだと思う。以下のくだりは痛い。

 

 現在、一般的に就職は極めて難しく、若者たちは、相当の知識や経験や技術がない場合、自らの労働力を切り売りすることを迫られる。そして社会に出て働いてみて、多くの若者がはじめてその現実に気づく。不安定な雇用契約で安い賃金でこきつかわれ、その時点ではじめて学問や訓練の重要性に気づくことも多い。なぜ自分はもっと勉強しなかったのだろう、積極的に資格をとったり、能力を磨いたり、色々な人とのネットワークを作ったり、どうしてそういった努力をしなかったのだろう。~しかしそういった厳しい現実に気づいても、ある程度経済力な余裕がなければ再チャレンジは難しい。

12年、営業をやってきたけれど、会社を辞めて12 年もたてば、もう何もない。パートやバイトで食い繋ぐしかない現実を思うと、やはり、努力不足を認めざるを得ない…

 

高校生の時、なけなしの小遣い叩いて『69 sixty nine』や『コインロッカーベイビーズ』を買い、夢中で読んだ。

あの時、友達に借りるのではなくて、どうしても手元においておきたいと思った本だっだ。

 

そして久しぶりの村上龍の本もまた、ひとまず、辞書の横に置いておきたい本だと思った。書かれたのは2010年と少し古いが、それでもこれは買うに値する本だと思った。

 

 おそらく子供達は、この本には興味が湧かないだろう。今の彼らは学校と家が世界の全て。サッカーとゲームと友達とYouTubeと勉強しか見えていないから。

それも仕方がないと思う。でも、せめて、日本にはどんな職業があるのかということくらいはなんとなくでも知っておいたほうが良い。

それに、自分はどのように生きのびるのかということを考えなければ、今何をするべきなのか分からないでしょ。

 

 お母さんは決めました。

もうすぐ13歳になる君へのお祝いとして以下の本を贈ります。

 

包みを開けて、「なあんだ、本かよ!」と言うなかれ。最後のページにAmazonのギフトカードの付録がついてるよ。

 

PS. ギフトカード気合い入れました。いつか弟達にも貸してあげて下さい。

 

 

 

新 13歳のハローワーク

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